スーパーいわちゃんねる!

人類総岩崎化を目論む岩崎が、全国19万人の岩崎さんと1億人ちょいの岩崎さんじゃない人に向けて更新中。世界よ、これが岩崎だ。

平成生まれのガッツを見よ

 平成の次の元号が「令和」に決まったそうで、新たな時代が始まる実感がようやく湧いてきた。元号とともに人生を歩んできた身として「元号が変わっても、私たちはいい意味で変わらねぇぞ!」というのが率直な気持ちである。「岩崎」じゃなかった…そもそも画数多いからダメか。

 我々が新元号生まれの連中に煙たがられる日がいつか来るかも知れないが、古今東西でオールドジェネレーションがニュージェネレーションにそのような扱いを受けるのは通過儀礼みたいなものだろう。私たちも昭和生まれの諸先輩らに悩まされているケースが多々あるし。そういえば昭和から平成に変わる時、諸先輩らはどんな気持ちだったんだろう?

 

 さて、寒の戻りが激しかった先日のこと。仙台駅前西口、テッペン越えて午前0時過ぎ。用事を終えたので原付を取りに駐輪場に向かっていた時だった。キャリーケースを転がす女の子に声を掛けられた。

 

 「レンボーってどっちですか?」と尋ねられたが、その女の子が顔を向けているのは逆方向だった。

 蓮舫…じゃなくて「連坊(れんぼう)」。仙台市東口から近からずとも遠からずの微妙な位置にある古い地域で、最近は地下鉄東西線の駅ができた。住宅と学校と店舗がいくつかあるだけでの静かなエリアで、不動産屋なら「仙台市中心部に近く、家賃もまぁまぁで落ち着いて住むにはちょうど良い場所」と答えるだろう。「坊主が連なる」という、インパクトのある地名の字面さえ気にならなければ。

 

 「行きたいのは連坊のどこ?」

 「えっと…、コウジ?レンボーコウジ?って場所ありますか?」

 

 待て。「連坊」と「連坊小路」は、ちょっと違うぞ。

 

 「あるけど…目的地の住所はわかります?」

 「わかんないです…2階建ての建物なんですけど」

 

 いっぱいあるぅぅぅ!!

 

 「…何か目印あります?」

 「スーパーと学校が近くにあるところで…」

 

 いっぱいあるぅぅぅ!!

 

 詳細を聞いた結果、何とか目印のスーパーが特定できたので「あそこに見えるホテルの角を左に曲がって、新幹線の高架橋を越えた先の信号で右に曲がるとありますよ〜」と伝えたら「コウカキョウ?右?え…?」というリアクションが返ってきた。

 

 「…一緒に行きましょうか!!」

 

 その方が早い・確実・安全と判断した。愛車を回収し、説明が通じなかった悔しさから半ばヤケクソになりつつも車体を押して歩いた。

 その女の子は中学生だった。青春18切符を使い、南関東から東北本線を乗り継いで仙台にある親戚の家を訪ねて来たという。どうやら春休みの機会を利用して、ちょっと冒険に出たらしい(親もOKしてくれたと。寛容だなぁ)。スマホの充電が切れ、地図アプリを開くことも親戚に連絡することもできない大問題に直面し、困っていたところに私が通りがかったそうだ。「日光でおいしい駅弁食べました!!」「黒磯で乗り換えに1時間待たされて〜!!こっち(地元)じゃあり得ない!!」と、目をキラキラさせながら道中の出来事を話してくれた。黒磯クオリティーなら仕方がない。地元民でも辟易とするからな。

 目印のスーパーが見つかり「思い出しましたー!!あとは道順わかります!!」とのことだったので、横断歩道を渡っていく彼女を見送ってから原付のエンジンをかけた。0時30分過ぎ、ご親戚もさぞ心配しているだろう。無事にたどり着けたといいのだが…。それよりも「夜中に見知らぬ土地で知らない人に声をかけて道を聞く」という、大人でもちょっと勇気が要る行動を取ったことを心から尊敬する。

 

 学生時代にバイトしていたコンビニで、こんな出来事もあった。仙台七夕前夜祭の日、花火大会が終わって観客がぞろぞろと列を成して帰って行く様子がガラス張りの店舗入口から見えた。

 一般的なカテゴリーなら「幼女」という部類に入るであろう年頃の女の子(察するに平成2桁生まれ)が1人、店に入るやいなや私がいるレジのところに駆け込んできて「家族とはぐれました。電話貸してください」と言った。

 こわばった表情の奥から「家族と合流するために、きちんと大人とコミュニケーションを取らなければない」という、強い意志と覚悟を感じた。バイトリーダーに相談し、リーダー付き添いの下で事務所内の固定電話を使ってもらった。すぐに両親と連絡が取れ、10分程度で両親と兄弟が来店した。迎えを待っている間、座ってじっと大人しくしていた女の子が父親の顔を見た瞬間に「対大人用に突貫で組み上げた一個人」から「まだまだ甘えたい盛りの、普通の子ども」の顔に戻ったのが、今でも忘れられない。

 

 昭和生まれの諸先輩たちにとって、時に平成生まれは「ゆとり世代か?」「いや、悟り世代?」「何を考えているかわからない」「価値観が違う」など、異質な存在に見えることがままあるだろう。私自身も平成生まれ、それを理由に贔屓(ひいき)する訳ではないが、これだけは確実に言える。

 平成生まれはガッツがある。特に2桁世代。若い(年下だ)からって甘く見ないでいただきたい。そこんとこよろしく。

 

 ここまで書いたところでスマートフォンを確認した。実は先日、2ヶ月ぶりに相方から突然LINEで連絡が来たが、あまりにも一方的な内容だったので直接説明を求める趣旨の内容を返信したところ、また既読&未読無視されている。もちろん相方も平成生まれ、それ以前にアラサーの大人である。比較するつもりはないが「なんで人としての礼儀とか常識とかマナーとか、最低限のコミュニケーションすらできないかなぁ…」と、頭が痛い日々が続いている。この件は別の機会に。