スーパーいわちゃんねる!

人類総岩崎化を目論む岩崎が、全国19万人の岩崎さんと1億人ちょいの岩崎さんじゃない人に向けて更新中。世界よ、これが岩崎だ。

芋煮戦争を語る

 地元がそろそろ血なまぐさい…いや、土臭いシーズンになる。宮城・山形の両県で伝統的な秋の懇親会「芋煮会」の準備が始まっている。ご存知の方も多いだろうが、宮城と山形では芋煮の具と味付けが異なる。その件で両県の出身者はたびたびモメており、Twitterではシーズン前後になると「#芋煮戦争」なるハッシュタグを付けたツイートが盛んに呟かれるなど、争いはオンライン・オフライン問わず絶えない。

 私は生まれも育ちも宮城県なので芋煮は当然「味噌と豚肉」と思って生きてきたが、「醤油と牛肉」を信条とする山形人に言わせると「河原で豚汁食って何がうまいのwww」「宮城芋煮って何?www」だそうだ。

 しずねごだ…山形人は牛越橋の辺りでごしゃいでばりいねぇで、最上川の方さ帰ぇって油圧ショベルで巨大芋煮の鍋ん中さかんましてろ!!

 (訳:うるさいな…山形人は牛越橋の辺り=宮城芋煮の有名スポットで怒ってないで、最上川の方に帰って油圧ショベルで巨大芋煮の鍋の中をかき混ぜてろ=芋煮フェスティバルにでも行ってろ!!)

 …と言いたい気持ちをこれまで押さえてきたが、つい先日宮城芋煮=豚汁というdisりに対して山形芋煮=すき焼きという反論をTwitter上で見かけてしまった。これは使うしかない!!というわけで、私が生きているうちは戦争終結を見られないだろう。やーいやーい、玉子も入れない味薄めのすき焼きをありがたがる山形人ー!!悔しかったら山形新幹線を東京駅に入れてみろよー!!おしりぺんぺーんwww

 さて、最近この芋煮戦争の流れを変えるであろう第3の刺客「塩味(和だし味?)」がいることをご存知だろうか。あっさりシンプルな味付けで、鶏肉が使われている以外は普通の芋煮と同じ具材が使われている。少なくとも私が大学生の頃(=おおよそ10年前)には既に存在していたので、もしかすると現在はもっとポピュラーになっているかもしれない。最近の芋煮会では宮城芋煮と山形芋煮の両方を用意するパティーンが多く、そこに塩芋煮も…となると鍋を3つ用意しなければならない手間がかかるが、これで蔵王連峰を挟んだ無益な争いが少なくなるならウェルカムだ。

 肌寒い季節に、味が濃い味噌でも醤油でもないあっさり味付けの塩芋煮を食べるのってどうなの?と思うが、芋煮会では芋煮以外にも酒や食べ物が振る舞われるので塩芋煮が締めの一杯にちょうど良い。宮城・山形どちらのものでもないから「中華スープ」「具だくさんのお吸物」などとdisられることもない。むしろそういうdisりが生まれたら南東北は終わりと言っても過言ではない(あ、福島巻き込んだゴメン)

 誕生の経緯は不明だが、恐らく芋煮会を企画したどこかの集まりが「宮城・山形のどっちも取らない」と決断した結果、味噌も醤油も入れず、豚肉でも牛肉でもない鶏肉を鍋に入れたのだろう。それが自然と広まったと推測する。ここまでは宮城側で起きていることなので、芋煮の本場・山形側の事情を伺うとまた違う話が出てくるかもしれない。

 

 想像するに、芋煮戦争の発端は宮城県で出稼ぎ暮らしている山形人が宮城の芋煮会に行ったら豚汁を出されてブチ切れたのが始まりだろう。宮城芋煮の発祥は、なぜか山形人が牛越橋の辺りで芋煮を作っていたのを宮城県民が発見し「あれいいっちゃね?おらいでもやるべ」と見た目だけをパクった結果、広瀬川の河原で豚汁を作って「秋に河原で食べるんだから、これは豚汁じゃなくて芋煮!!」と胸を張って主張する行事になったと伝えられている。オーソドックスなレシピがなければ、これと言った礼儀作法もない。発端がこれだから、塩芋煮が広まっても何らおかしくはない下地がある。それと宮城県民は新文化に対して柔軟な人が多いよね。風土や人柄も多少は影響してると思われる。

 逆に我々宮城人が、山形で毎年恒例の芋煮フェスティバルに乗り込んでいったらどうなるだろうか。あの手この手で山形芋煮や食べ頃のフルーツなどを腹くっちぐなるまで食べさせられ、脳も胃袋も「ヤマガタサイコー」という洗脳が完了したところでJR仙山線に詰め込まれ、途中落ち葉やクマの衝突で止まりながらも仙台まで送り返されることになるかもしれない。なんと危険な。近寄らないでおこう。でも1回だけ行ってみたい気もする…。

 東北の秋は長い。向こうにいる皆さまには、ぜひ今年も仲良くケンカしながらシーズンを楽しんでほしいものである。

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