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【映画感想】翔んで埼玉

 「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」

 埼玉ディスりマンガとして名高い「翔んで埼玉」がまさかの映画化。

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「パタリロ!」で知られる漫画家の魔夜峰央が1982年、当時自らも居を構えていた埼玉県を自虐的に描いたギャグ漫画として発表し、30年以上を経た2015年に復刊されるとSNSなどで反響を呼んだ「翔んで埼玉」を、二階堂ふみとGACKTの主演で実写映画化。かつて東京都民からひどい迫害を受けた埼玉県民は、身を潜めてひっそりと暮らしていた。東京都知事の息子で、東京のトップ高校である白鵬堂学院の生徒会長を務める壇ノ浦百美は、ある日、アメリカ帰りで容姿端麗な謎の転校生・麻実麗と出会う。百美は麻実に淡い恋心を抱き、互いに惹かれあっていく。しかし、麻実が埼玉県出身であったという衝撃の事実を百美が知ってしまい、2人は東京と埼玉の県境で引き裂かれることとなってしまうが……。二階堂が男性である百美役をGACKTが麻実役をそれぞれ演じる。監督は「のだめカンタービレ」シリーズ、「テルマエ・ロマエ」シリーズの武内英樹。

翔んで埼玉 : 作品情報 - 映画.com

 魔夜峰央ワールドを忠実に再現した問題作。予告だけで既に埼玉のゲシュタルトが崩壊している。


『テルマエ・ロマエ』の監督が贈るディスり合戦開幕! 映画『翔んで埼玉』予告編 /2月22日(金)公開

 魔夜先生は、ウチの母のような昭和中期生まれには馴染み深いマンガ家さんのようだ。最近では「パタリロ!」舞台化→映画化決定するなど、時代が魔夜先生に追いついた感がある。

 原作は途中で終わっており、魔夜先生は「自分は埼玉が嫌いでこのストーリーを描いた訳じゃない。所沢から東京に引っ越してしまったので、東京でこの作品の続編描いたらただの悪口になってしまう」と後書きで語っている。また「マンガの中で茨城もディスったら、水戸出身の奥さんの親戚縁者がブチ切れて肩身の狭い思いをさせてしまった」とのこと。残念ながら、映画で茨城県は大洗に海があることと、常磐線が通っていることしか紹介されていない。

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 茨城の奥にある北海道・東北は人間が住むところじゃないのか?常磐線は仙台まで通ってるんだけどなぁ(※東日本大震災の影響で、福島県内で一部不通区間あり。今年度内には開通する予定らしいけどホントかな?)。劇中では群馬県が国土交通省すら見放す未開の地として登場するが、あの世界における北海道・東北はそれ以前の問題かもしれない。

www.tondesaitama.com

 映画冒頭、埼玉ディスりの張本人・魔夜先生(本人)が神々しい感じで登場する。原作者も多少は反省しているらしい。

 時は現代の埼玉県。百美や麗たちの存在は都市伝説として語られる。内容は原作準拠だが、先述の通り途中で終わっているので埼玉県と千葉県の謎の抗争や東京都の陰謀など、半分以上がオリジナルエピソードとなっている。始終ギャグに徹しているのではなく「郷土愛とは何か」を、ディスりを通して訴えているのも深い。そういう要素を入れないと、ただ埼玉がイジメられてるだけになるもんね。

 茶番の中にも葛藤とアツい感動…これまで視聴した映画の中では「舞妓Haaaan!!!」に近い雰囲気かな。

 百美役の二階堂ふみちゃんが意外と馴染んでる。GACKT、伊勢谷友介、京本政樹などの濃ゆいメンバーに囲まれる中で、存在感を出すのは大変だったろうに。あのパパとママの子どもなのに、百美がブロンドヘアーをなびかせている点は魔夜峰央ワールドだからツッコんではいけない。

 GACKTはNHK大河ドラマ「風林火山」の上杉謙信役で培ったと思われる所作がちらほら。あんな風に言われたら誰でも士気上がっちゃうでしょう。もちろん、ミステリアスでセクシーな部分も存分に活かされている。高校生という設定は忘れよう。伊勢谷友介との問題のシーンは…なぜR指定が入らなかった。

 その伊勢谷友介は何度確認しても「チャーリーとチョコレート工場」のウォンカ工場長にしか見えないし、京本政樹もあの格好のまま「陰陽師」に出ても違和感なさそう。埼玉サインの出し方が印を結ぶみたいで美しいし。

 そしてパタリロ殿下が埼玉県人に転生した。加藤諒くんは今後、魔夜峰央作品に不可欠な存在になるだろう。ムロツヨシと佐藤二朗が福田雄一監督作品に出まくってるように…。それにしても、ほとんど日本人なのに濃ゆい顔の人たちばっかりだなぁ。

 主演級の俳優たちが肩を並べる中、ぜひ訓練されたモブにも注目してほしい。百美たちが通う学校の生徒たちや埼玉デュークの部下、千葉解放戦線の海女さんたちがそれぞれいい味出してるぞ。…って、埼玉デュークの部下の一人がレッドバスターだったのには、Wikipedia見るまで気付かなかった…。→翔んで埼玉 - Wikipedia

 埼玉と千葉の抗争シーンはとにかくガラが悪い。デコトラ、ヤンキー、変なバイク…どこから調達してきたんだろう。先日、東京在住者2人に話を聞く機会があったが「東京の右上の方は治安があまり良くないから住まない方がいい」と言っていた。モロに埼玉と千葉(の県境)じゃん。あんな戦いが頻繁に行われるなら近寄らない方がいいわ。

 当然ながら全編を通して埼玉の勉強もできるので、他県民も安心して鑑賞可能。現在の埼玉県の成り立ちは廃藩置県まで遡るらしい。ファミリーマートが埼玉発祥とは知らなかった…。おのれ!!サークルKサンクスを吸収合併したのは、日本埼玉化計画の一端だったか!!どうりで「最近、仙台駅前にファミマ増えたな〜」と思ったよ!!そしてファミリーマートで売られるガリガリ君(赤城乳業、本社:埼玉県深谷市)…非の打ち所がない!!

 平成最後の茶番劇。久々に頭空っぽにして笑わせてもらった。

このマンガがすごい! comics 翔んで埼玉 (Konomanga ga Sugoi!COMICS)

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